Drummer, Dresser, Gentleman

画像:rollingstones.com

ローリング・ストーンズは100歳になっても演奏しているだろうと思っていたが、そういうわけにはいかなかった。チャーリー・ワッツ没。80歳だったそうだ。
チャーリー・ワッツの演奏が好きだった。様々なテクニックを見せるドラマーが多いなか、彼のシンプルな演奏が好きだった。ヘタウマと形容されるほどグルーヴやリズムが独特で、スネアを叩くときにハイハットを抜く奏法はドラム好きには語り草。
演奏がシンプルならドラムセットもシンプルだった。タムタムはハイタムのみの1タムスタイル。ロータムがないとライドシンバルを叩きやすいそうだが、ジャズを好む彼らしいセット。
投稿するつもりはなかったが、素敵な写真を見つけたのでどうしようもなく。チャーリー・ワッツが好きな理由その2。他の3人の出で立ちはロッカーだが、チャーリーはドレッサーだった。
タイトルはポール・ウェラーのインスタグラムより拝借。まさにその通りだと思って。

葛西臨海水族園

葛西臨海水族園を訪れたのは20年前。東京で出稼ぎしていた。画像は自撮影。まだフィルムカメラの時代だった。側面のガラス枠が映り込んでいるが、まともな写真はこれしかない。
いまごろになってこの水族園が危機に瀕していることを知った。開業から32年が経ち、建物や設備の老朽、バリアフリー未対応、展示の古さなどを理由に、現在の建物の北側に新しい水族園をつくる方向で進んでいて、現在の建物は移転後に調査を行いあり方を決めるそうだ。
2017年に『葛西臨海水族園のあり方検討会』が設置され、5回の会議を経て2018年に報告書がまとめられたが、結論は施設の更新。そうとは書いていないが、そうせざるを得ないように誘導するようなまとめ方。そこからの動きは早く、2019年には基本構想、2020年には事業計画が策定。PFI-BTO方式で事業者を募り、2026年には開業したい考えのようだが、何をそんなに急いでいるのだろう。まだ使えそうなのに、なぜ更新する必要があるのだろう。舞台の裏に何かが潜んでいるのだろうか。誰かが発破をかけているのだろうか。
そもそも『葛西臨海水族園のあり方検討会』のあり方が不明瞭。キックオフである重要な会合なのに、委員は造園、観光、SDGs、博物、環境、科学の専門家だけで、建築の専門家は皆無。それなのに建物や設備の老朽を訴えている。専門家でないのになぜ断言できるのだろう。
約40ページの報告書と同量の参考資料がついているが、SDGsのページなど必要だろうか。資料は既出を流用しているだけ。そもそもSDGs、SDGsとうるさい。襟にバッジをつけている人たちは、中身を十分に理解しているだろうか。あんなものを掲げなくても、良識があれば凡そのことには気をつけているだろう。何でもかんでもSDGsに紐づけるのでうんざりする。
後述するシンポジウムで、専門家つまり建築士たちは「問題なし」と太鼓判を押している。構造的劣化は見られない。壁足元のコンクリートの破損については、魚が嫌う騒音や振動の起きない工法を都へ進言済みで、実行していないだけ。ろ過装置の交換はしようと思えばできる。交換は数十年に一度なので、その時くらい土を掘ってもよいではないか。役人や従業員が自ら掘るわけではない。交換が展示室に影響を及ぼすというが、休館せずに交換などできるわけはないだろう。作業員のスペースが狭いというが、どんな施設でもそういうもの。お魚優先、お客優先。純粋な研究施設ではないのだから、多少の我慢をしなければ。バリアフリーについては、随契で谷口事務所が設計済み。これも都が実行していないだけ。工期や騒音振動がかせになっているのだろうが、実現不可能ではない。他の懸案も同じ。やらないで文句を言い、安易に施設を更新してしまえば、SDGsやその他諸々に反するのではないのか。
機能性が悪い、展示方法が古いというだけで簡単に捨ててよいのか。32年間に6千万人もの人が訪れているそうだが、もし建物がなくなってしまえば、その6千万人の記憶も失われてしまう。解体を免れたとしても、水族園でなくなるのであれば同じこと。建物のほうも、活力を失うことは容易に想像がつく。用途を変更しづらいので、勝手が悪いと見捨てられるだろう。
水族館は教育やレクリエーションのための施設なのに、PFI-BTO方式などを採用すればレジャーランドと化すだろう。いくら都が道筋をつけても、所有権を有しても、お金を出すのは民間業者だし、運営を行うのも民間業者。集客を重視し、入場料も高騰するだろう。
設計者の谷口吉生さんは、「まだ耐久性がある建築を30年で壊してしまうのは理解できない」と苦言を呈し、日本建築学会や日本建築家協会も保存活用するよう都へ働きかけている。
だから先日『新美の巨人たち』で取り上げられたのだ。そのときはまだ知らなかったので、なぜ今なのだろうと思った。ナレーターの内田有紀さんが、やたら「軌跡の建築」と讃えていたことに違和感を覚えた。めずらしく谷口さんご本人も登場し、「末永く水族館として存続することを願っている」と話していたが、まさに現実のこととして訴えていたのだ。
学会と協会はシンポジウムを行っていて、その様子はYouTubeに公開されている。協会のほうはディスカッションだが、学会のほうは槇文彦さん(92歳!)、仙田満さん、古谷誠章さん、松隈洋さんらが講演を行っていて、古谷さんや松隈さんの講演には感銘を受けた。
松隈さんが最後に取り上げたスマスイ(須磨海浜水族園)の建て替えも知らなかった。こちらは公園を主としたP-PFI方式を採用しているそうだが、民設民営に変わりはなく、神戸市はこの施設を放棄することに決めた。その結果、500円だった小中学生の入場料は1,800円になるそうで、それはもう教育やレクリエーションのための施設ではなくレジャーランド。事業体の名称は『神⼾須磨Parks + Resorts共同事業体』。端から行楽地にするつもりなのだ。
認定事業体の計画概要書が公開されている。事業体の参画者はなじみのある企業ばかりだが、水族館のデザインコンサルの安田アトリエははじめて聞く。コピペして検索するとトップに同名の設計事務所。プロフィールを見ると安田幸一さんの事務所だった。この方は葛西の件で奔走されているようで、その後の委員会に建築の専門家として選ばれている。シンポジウムでは司会をされ、発言を聞く限り反対の立場。それなのに須磨では賛成側に立っている。状況に応じて立ち位置を変えるのだろうか。建物の重要度で選別しているのだろうか。でもまだわからない。設計建設でなく運営管理の欄に記名されているので、同名の別会社なのかもしれない。
最後に関係ないことだがどうしても。これを書くにあたり開示文書をいくつか読んだが、日付が西暦、和暦とバラバラ。令和に変わって脳があきらめたのか、変換がすぐにできなくなった。和暦がなくなることはないだろうから、せめて併記を慣習してくれないだろうか。

理論的ダイエット

YouTubeのおすすめ番組を観ていて驚いた。冒頭出演者の紹介で「クイズ王古川洋平」と表示されたが、画面に映るのは髪をオレンジに染めた細身。名前に聞き覚えがあったが、このような容姿だっただろうか。すると番組中盤に自ら説明。ダイエットをして痩せたそうだ。
変更前の写真を見て理解。112キロから64キロへ、48キロも減量していた。その上眼鏡をコンタクトレンズに替え、黒髪をオレンジに染めたので、ぜんぜんピンとこなかった。
ダイエットのきっかけは、健康診断で医師からTVゲームを使った運動を勧められたことと、少し痩せていた頃の写真に格好いいとリプライがついたときに、過去しか褒められない、後悔しかない人生を歩むのは嫌だと思ったそうだ。コロナ禍の巣籠もりも後押しした。
彼のダイエットは理論的。最も効率よく痩せるための食事を考えた。『あすけん』という食事管理アプリを用い、摂取カロリーと消費カロリーを正しく記録。タンパク質、脂質、炭水化物の摂取量の組み合わせを、頭をひねりながら算定するのがゲームの変数のようで面白いと。
痩せるためには運動よりも基礎代謝を上げるほうが効率的で、筋力アップよりも肝臓を元気にするほうが得策とわかり、お酒をやめてヘパリーゼと生姜のサプリを摂取しているそうだ。
彼のダイエットについてもっと知りたいと検索すると、結果のトップに彼のTwitterが表示されたので訪ねてみたが、ダイエット本の告知ばかりで実益なつぶやきは見当たらず。タブを閉じようとしたが、トレンドの高校野球の投稿が読みたくてクリックすると、画像のようなポップアップが現れて本体を触れない。×を押すと元のページへ戻ってしまった。
先日Twitterがアップデートされたそうで、UIの変更が改悪だと話題になっていた。アカウントを持たないので対岸の火事と思っていたが、アカウントを持たない者にも影響を及ぼす変更がなされたようだ。上述の通り、ブラウザ版Twitterでは、ログインをしていなくても、ネットの検索結果からタイムラインが表示され、トレンドなどサイドバーのリンクもクリックして進むことができたのだが、今度の変更でできなくなってしまった。Facebookと同じようになった。

線状降水帯

画像:tenki.jp

縁がないと考えていた線状降水帯。まさしくこれがそうではないのか。
もう6日もこの調子だが、このまま秋になってしまわないのだろうか。暑いのはご免だが、8月なのに肌寒いというのは気に入らない。気持ちも萎えてしまう。
各地で被害が相次いでいるようだが、広島の被害が気にかかる。2014年8月に発生した、線状降水帯が引き起こした土砂災害はずっと記憶に残っている。

最後にして最初の人類

店にもオークションにも在庫がないので図書館で借りた。予約が殺到していると思ったが、すぐに借りることができた。閉架扱いだった。著者は哲学者だったそうだが、難解で読みづらい文章やはじめての単語が多く、ページを繰る手が遅々として進まなかった。
映画についての投稿にも書いたが、この小説は、20億年先に生きる未来人が、現代人の精神を操り書かせたという体。20億年先の人類は、18代目で最後の人類なのだそうだ。太陽はあと50億年ほどの寿命があるそうなので、地球の寿命も同じだとすれば、人類の営みがこの先20億年続いてもおかしくないだろう。実際に23億年継続可能だとする研究が発表されている。
本著の人類史を描いてみた。さる方の受け売りだが表現はあらためている。見よう見まねで対数スケールを用いたが、このようなもの学校で習っただろうか。9期以降を端折っているが、あまり重要でなかったり、そもそも小説でも端折られていた。

各期人類の概要も書いておこう。第3期まで自然に進化するが、第3期人類は芸術としての生命創造にとらわれてしまい、直径3.6mもの脳を持つ第4期人類を造る。第5期人類は完全な人型の人造人間だが、身長は2倍、寿命は5万年。この頃には容易く生命を操ることができた。
月が地球へ衝突することが確実となり、100年かけて金星をテラフォーミングし、金星人を駆逐して移住。これより先の人類の営みは、地球ではなく他の惑星で行われる。
金星の環境に合わせて造られた第6期人類は、空をかける観念に魅了されてしまい、ついに羽の生えた第7期人類を造る。個人的にはこの第7期人類のくだりがもっとも好み。
第8期に再び宇宙的危機に直面。2万年後に太陽が白色矮星化をはじめ、5万年のうちに金星は凍りついてしまうと予測。水星へ移住する計画をはじめたが、その後巨大ガスが太陽へ衝突する見込みとなり、衝突による炎や熱から逃れるためには、海王星あたりまで離れなければならないことが判明。数世紀かけて海王星へ移住。
第9期から第13期の人類は自然と退化し、人型ではなく様々な動物のかたちをしていた。第14期で再び巨大脳の人間を造るが、進化することなく衰退。第15期で再び自然人類のかたちを造ることができ、ついに人間の本性を完成へ向けて邁進させる。
第16期人類は再びテレパシーを使えるようになり、頭のうしろにも眼が造られた。途轍もない知性のおかげで、海王星の運行を制御できるようになり、過去の人々の精神へ侵入できるようになったが、より高みへと第17期人類を造り、完璧な種を目指して第18期人類を造った。
寿命はついに25万年。頭の頂きにも眼が造られ、その視力は小さな天体望遠鏡並み。精神はより高次元化し、多人数による集団精神を起こせるようになった。哲学は絶頂を極めた。でも完璧な種を造るには時間が足りなかった。第8期の太陽の白色矮星化は早合点だったが、太陽が終焉する前に他の狂った星のせいで太陽が巨大化し、飲み込まれてしまうことが確実となった。
小説の最後は、最後の人類から最後に生まれた若者の言葉で締め括られる。

人間そのものが音楽であり、その壮大な伴奏、すなわち嵐や星たちを生み出す音楽を創造する雄々しい主旋律なのです。その限りでは人間そのものが万物の不滅の形式に潜む永遠の美なのです。人間であったとは、なんとすばらしいことでしょう。ですからわたしたちは、心の底からの笑いと平安を胸に、過ぎ去りし日々とわたしたち自身の勇気に感謝を捧げつつ、ともに前進すればいいではありませんか。どのみちわたしたちは、人間というこの束の間の音楽を美しく締め括ることになるでしょうから。