Windowsでの新しい体験

U-NEXTで映画を観ていると、突然モニターいっぱいに現れた。全画面表示なのでタスクバーは隠され、右上に×ボタンもない。サポート詐欺と同じ手口。天下のマイクロソフトなのに。
Windows 10のサポート終了は2025年10月14日だが、なぜこのタイミングなのか。すべてのユーザーが同じタイミングで現れたわけではないようなので、どのような仕組みになっているのか。
ESCキーを押すと消えてしまったので、詳細情報を確認できなかったが、ネットを検索すると大したことはなかった。うちのデスクトップはWindows 11にアップグレードする条件を満たしていないので、新しいPCを購入するよう促されるだけのようだ。
でも前に投稿したとおり、タスクバーの仕様が変更されてしまい、仕事に支障をきたすので、Windows 11にはアップグレードできない。Windows 10で終了すると言いながらWindows 11をリリースするような団体なので、そのうちWindows 12をリリースするのだろう。タスクバーが元に戻る可能性は低いだろうが、とりあえずそのときまで放っておく。

フェリシモチョコレートミュージアム

シネ・リーブル神戸で『Ryuichi Sakamoto | opus』を鑑賞。『odessa』を体験するためにこの映画館を選んだのだが、残念ながら音のよさはわからなかった。109シネマズ大阪エキスポシティの『SAION』は音がよいと感じたので、こちらにも期待していた。
いくらハイスペックな音響設備を導入しても、シアターの空間がよくなければ性能を発揮できないのだろうか。『SAION』のシアターはきれいなかたちをしていたが、『odessa』のシアターは平面が五角形で、柱が1本飛び出し天井も高くなかった。

シートは見たことのないタイプだった。リクライニング機能が備わっていたが、ストッパーがついていないので、姿勢を少しでも変えると倒れた。張地は織物でなく合皮のようなテクスチャ―なので、動けばキュッと音がした。アクション映画であれば気にならなかったかもしれないが、静かな作品なので気になった。独立した肘掛けや、広いシート間隔はよかった。
シートのメーカーはスペインのフィゲラス社だそうだ。映画館のウェブサイトで紹介されていた。系列館『新所沢レッツシネパーク』で好評を博したそうだが、本当だろうか。

次に訪れたのはフェリシモチョコレートミュージアム。junaidaさんの絵本『ひと粒のチョコレートに』(福音館書店 2023)と、絵本『ともしび』(サンリード 2024)の原画展が行われているそうで、市立伊丹ミュージアムで特別優待券をいただいていた。
ミュージアムはフェリシモ本社ビルの2階にあった。セルフレジで800円を支払い、受付で注意事項の説明を受け中へ入ると、暗がりの中チョコレートの香りが漂っていた。
空隙クッション素材に包まれたアクリル板の容器に、カカオ豆の種皮を満たしたインスタレーションだそうだ。”ピラミッドの内部のツタンカーメンの眠る、霊安室のような、宇宙へのつながりを感じる、神秘性のある空間となっております”──容器をつくったアーティストのコメント。
このミュージアムは展示区画ごとに名前がつけられていて、この区画は『prelude』。

次の区画は『creative walk』。コレクションのパッケージを展示する区画だそうで、現在はイタリアのカファレルに関する展示が行われていた。展示内容は定期的に変わるようだ。
他に人がいなかったので左右にジグザグ進んだが、混んでいるときは展示ケースに沿って一方通行となるだろうから、次へ進むためには1.5往復しなければならないだろう。
この施設はプランや動線に難があるようだった。エントランスホールではチケットカウンターが入口から最も遠い場所にあり、ミュージアムショップの平台の横を通らなければならなかった。チケットを購入すると反対側の受付で注意事項の説明を受けたが、その受付は入口を入ってすぐの場所にある。混雑時に備えた配置なのかもしれないが、他に案はなかったのだろうか。

次の区画は『art square』。絵本『ひと粒のチョコレートに』の展示が行われていた。

撮影は全体のみで、アップは不可とのことだった。文章がついていたからだろうか。
絵本の原画の展示では、文章のついた絵本でもその文章は省略されていることが多いが、この展示では絵本と同じ位置に文章がついていた。額のカバーの内側に透明な板を仕込み、その板に文章を貼ってあるようなのだが、スポットライトのせいで文字に影ができていた。まさに影文字の状態なのだが、文字も影も黒なので読みづらく、途中で読むのをやめてしまった。
次の区画『imagination picnic』には、図書コーナーや板チョコの撮影スポットがあった。

次の区画は『symphonic forest』。壁4面とも床から天井まで収納が造りつけられ、国内外のチョコレートのパッケージが収められていた。ショコラティエやチョコレート関係者、一般からの寄贈によるもので、その数12,000点以上にも及ぶそうだ。
収蔵庫の可視化というコンセプトは面白く、見ごたえのある区画ではあったが、保護のためなのか照度が低く、目の悪い私は十分に楽しむことができなかった。

次の区画は『island gallery』。絵本『ともしび』の展示が行われていた。
インテリアに茶色が多いのはチョコレートミュージアムだからだろう。それが図らずも落ち着いた上品な雰囲気をつくっていたが、メッシュ天井は似合わしくなかった。ミュージアムはあとからつくられたようなので、いかなるプランにも対応できるようにとの設えだろうか。
ビルの設計は石本建築事務所、デザインアーキテクト&インテリアはEight Inc.だそうだ。後者はアメリカの会社で、アップルストアの多くを手掛けているようだ。

カーペットはこの展示のために設えられたようだが、グレーの壁もだろうか。モノクロの原画が引き立っていた。原画はサイズが小さいので見えづらく、文章は端から読まなかった。

文章を読めないことが面白くないので絵本を購入したが、見事術中に陥ったか。

フェリシモビルの向かいに建つ神戸ポートミュージアム。junaidaさんの絵本『世界』のカバーに描かれている王冠のようにも見えるが、六甲の地形の成り立ちを表しているそうだ。
ウォータージェット仕上げの外壁の色が帯状に異なっているのは、六甲山と瀬戸内に浮かぶ西島の2か所で採取した骨材が使用されているからだそうで、山と海を表しているそうだ。

オーシャンビューホテル新旧。手前は『神戸みなと温泉蓮』(2015)、奥は『神戸メリケンパークオリエンタルホテル』(1995)。時代や社会、経済は異なるが、後者には思想が感じられる。

屋内スキー場のようなこちらは『GLION ARENA KOBE』だそうだ。GLION(ジーライオン)に覚えがあった。築港赤レンガ倉庫でクラシックカーの展示やステーキ店を営む会社だった。

Ryuichi Sakamoto | opus

ご自身の安息を祈るために演奏しているようだった。”まるで坂本龍一のプライベートなレクイエムにお邪魔しているかのようだ”とのレビューが公式サイトにあるが、その通りだと思った。
2022年の配信より曲目が増えていた。ベルナルド・ベルトルッチへ捧げたという『BB』や『for Johann』は初披露ではないだろうか。後者はバッハへ捧げた曲なのか、それともヨハン・ヨハンソンへ捧げた曲なのか。アルヴァ・ノトとの共作『Trioon』の演奏をはじめて見た。
配信のときは平気だったが、この日は悲しみや寂しさが表れた。序盤の『Solitude』で涙がこみ上げ、『Aqua』で堰を切ったように涙や鼻水が流れてしまった。マスクをしていたので流れるまま放置していたが、終映後照明が灯ると一目散にトイレへ駆け込んだ。
上映館は音にこだわりのある映画館ばかりだったが、選んだのは独自の音響システム『SAION』を導入した109シネマズ大阪エキスポシティ。他に『Dolby Atomos』や『odessa』導入の映画館があったが、『Dolby Atomos』上映館は部屋が大きすぎたりプレミアム感が目に余った。
109シネマズ大阪エキスポシティを選んだのは、系列の109シネマズプレミアム新宿には教授が監修を行った『SAION―SR EDITION―』が導入されているから。新宿へ行くことはできないが、せめて同じシステムで鑑賞したいと思った。『odessa』はテアトル梅田で経験しているが、あの映画館は部屋のつくりがよくないので、性能が発揮されているかは疑問。でもシネ・リーブル神戸の『odessa』は未経験なので、この機会に経験してみたいと思う。
画像はもぎり台でもらったポストカード。ウラ面にはセットリストが掲載されているが、気が効いているのは収録アルバムがジャケット画像つきで紹介されていること。感心した。

駒形克己さん

舟越桂さんが亡くなった同じ日に、大好きな方がもうひとり亡くなっていた。駒形克己さん。70歳。インスタグラムに病室でのお姿が投稿されていたので、白血病を再発されたのだろうかと心配していたが、昨日突然訃報を受けた。『GALLERY KOMAGATA』のSNSでは4月1日に公表されていたが、閲覧が疎かになっていたので知るのが遅くなった。
改めてSNSを閲覧すると、出版社や書店、図書館、そして大勢の人からのお悔みが投稿されていたが、その中に大阪で開催中の展覧会『駒形克己展 POP SCOPE』を見つけた。

会場は江坂の『RINEN』。洋服屋さん併設のギャラリーのようだが、地図アプリを見てハッとした。クレヨンハウス大阪店の隣だった。現在のクレヨンハウスのロゴは駒形さんのデザイン。私もはじめて駒形さんのしかけ絵本を購入した店はクレヨンハウスだった。
展覧会はクレヨンハウスの主催だった。3月23日から31日までの会期だったが、駒形さんが亡くなってしまったので、洋服屋さんの計らいにより1週間延長されたそうだ。

床まで白いホワイトキューブに、彩り豊かな駒形さんの作品が映えていた。壁には直筆サイン入りの『POP SCOPE』シリーズと『PIECES』シリーズ、そして『PIECES』をタペストリーにしたものが掛けられ、テーブルには著書やグッズが並んでいた。右上に見切れているモビールが欲しかったが、うちの2.5mの天井では様にならないので我慢した。

先代の社長さんと少し話しをさせていただいた。このスペースは普段メンズの売場だそうで、イベントがあるたび商品や什器を中2階へ移動させるそうだ。大変だが、普段と異なるお客さんが来られるので、その方たちと話しができてよいのだとおっしゃっていた。
テーブルが素敵だったのでたずねると、シェーカージャパン製だそうだ。シェーカー家具がお好きだそうで、ほかにも置いてあった。シェーカージャパンは店を閉じてしまったが、ウェブサイトは残っているとおっしゃったので訪問すると、お気に入りのウェブサイトだった。

画像でしか見たことのなかった『POP SCOPE』シリーズ。実物はどれも素敵だった。紙の重なりや立体感が見る位置によって変化するのが面白かった。たとえばマンドリルの特徴である鼻の赤い部分と青い部分。作品では青い部分は紫を用いているのだが、赤と紫の紙が顔のベースであるグレーの紙の下に見え隠れする。その様がセクシーでゾクゾクした。
全44種のうち23種が展示されていた。社長がおっしゃっていたが、トラが一番人気だそうだ。税込44,000円(トラ、シマウマは49,500円)は目玉が飛び出るほどではないが、うちには美しく飾る部屋がないので見送り。注文すれば制作してくれるそうなので急ぐことはない。

土産の『とっくん』。『ごぶごぶ ごぼごぼ』以来の『こどものとも0.1.2.』だそうで、2月に出版されたばかりのようだ。『ごぶごぶ ごぼごぼ』は胎児がお母さんの胎内で聞いていた水の音をイメージしたそうだが、『とっくん』は胎内で聞いていたお母さんの心臓の音や、生まれてからも抱かれるときに聞いたさまざまな心臓の音をイメージしたそうだ。

店の前の江坂公園。満開の桜と陽気のおかげで大勢の人が集まっていた。

帰りにジュンク堂大阪本店へ寄ったが、そういえばと永楽町スエヒロ本店の前を通った。
解体ははじまっていたが、仮囲いが国道2号側にしか設置されておらず、建具が撤去されたメインエントランスからは屋内の解体作業が丸見え。安全上問題ないのだろうか。

こちらは大阪丸ビルの解体。フジタ施工。親会社である大和ハウス工業が施工しないのは、このビルを設計施工したフジタ(旧フジタ工業)に敬意を表してのことだろうか。

蛇行剣

いつも静かな奈良県立橿原考古学研究所附属博物館が賑わっていた。2023年1月25日に富雄丸山古墳から出土した蛇行剣のクリーニングが終了し、次の処理が行われるまでのあいだ特別に展示されている。先週土曜日より1週間の限定。それは賑わうに決まっている。

平日のどこかで訪れるつもりだったが、昨夜『忠内香織の奈良ガイド』にアップされた投稿を聞き、すぐに見たくなった。水曜日だったが、雨降りなのでまだましだろうと踏んだ。
空いている時間が読めないので、開館時間の9時を目指した。10分前に着くとすでに列ができていたが、大した人数ではなかったのでひと安心。Xには1時間待ち、2時間待ちと書かれていたので覚悟していたが、蛇行剣が展示されている部屋まで45分だった。

エントランスの天井は三角ポリゴンを用いたドーム天井だった。乃村工藝社の仕事だそうだ。これまで天井を見上げたことは一度もなかった。行列のおかげ。

ホールに入ると列は3つに分かれていた。左から65歳以上、一般、JAF会員。一般は400円だが、JAF会員は会員証を見せれば350円だそうだ。チケットを購入し、右奥の通路へ進んだ。

列は続く。正面奥の特別展示室に蛇行剣が展示されている。左奥には常設展示室の入口があり、この通路は両展示室へ誘う導入部分なのだが、来るたび思う。なぜ明るくしないのだろう。展示室の入口をわかりやすく装飾し、導入部らしい空間づくりをすればよいのに。

蛇行剣。刃の部分が蛇のように屈曲している。これは6回屈曲しているそうだ。剣身長は237cm、鞘長は248cm、把(つか)から石突までの総長は285cmもあるそうだ。
展示室では壁面ガラスケースに沿って時計回りに進んだ。出土時からクリーニング終了までの過程が写真で紹介されていて、最後に蛇行剣が展示されていた。入室に制限がかけられていたおかげで、コンベア状態にならずにゆっくり見ることができた。

把部分は木製で、左から楔型把頭、把間(つかあい)、把縁突起、鞘口だそうだ。黒い部分は黒漆だそうで、1,600年経っても消滅していないことに感動した。X線CTスキャンによれば、鞘の樹種はホオノキと同定されたそうだ。

白い部分はウレタンで、緑の部分はシリコン樹脂だそうだ。ウレタンは断熱材の一種だと言っていたので、建築材料にある発泡ウレタンフォームを用いたのだろう。液状なのでどのような形状にも流れ込み、発泡して膨らみ、10分で硬化。カッターで切れるので除去も楽。

先端部分。中央の膨らんでいる部分が鞘尻で、その右側が石突。これらにも黒漆が塗られているそうだ。左側の先端が丸くなっている部分が剣先。

土産は高松塚古墳の石室壁画『女子群像』が描かれた野帳。前に飛鳥宮が描かれた野帳を購入したが、そのときにはなかったように思う。新作だろうか。

玄関を出ると行列はなく、整理券が配られていた。雨中の行列を申し訳ないと考えたのだろう。でも周囲には何もなくここで待つしかないので、増えてくればピロティからあふれ、結局傘をさすことになるのではないか。と余計なことを考えながら博物館をあとにした。