007 / No Time To Die

画像:LABOUR AND WAIT

昨年4月、11月、今年4月と3度の順延を経て、本日ようやく公開。しびれを切らし公開へ踏み切ったり、配信へ切り替える作品が現れるなか、売上を減らしたくないMGMと、配信を拒むイオン・プロのせいで、都合1年半も待たされた。その間MGMはAmazonに9,200億円で買収され、いやはやなんとも驚いたが、お金に困らなくなったので公開を決めたということか。
TOHOシネマズのTCX(R)で鑑賞。前作『スペクター』をその劇場で観て、ドルビーアトモスによるプレタイトル・シークエンスの音響にいたく感動してしまった。本作は40分間のIMAXカメラパートがあるそうなので、ダニエル・クレイグの功績を称えIMAXシアターで観るつもりにしていたが、007へ求めるのはフルサイズのIMAX規格ではないと思い直した。
上映時間は前作『スペクター』より15分長い163分。ピアース・ブロスナンが『スペクター』は冗長だったと話していたが、本作もそのように感じた。プレタイトル・シークエンスも過去最長だと思ったが、それに続くオープニング映像の出来は5作の中で最悪だったと思う。
気に入った点。『BEING JAMES BOND』でも流れた『愛はすべてを超えて』が本作でも使われた。ジェームズとマドレーヌへ捧げてのことだが、インストゥルメンタルだけでなく、エンドロールではルイ・アームストロングの歌唱バージョンが流れ、不覚にも涙があふれた。
ヴィークルは、前作は2台のスーパーカー+αだったが、本作は盛りだくさんだった。アストンマーティンはDB5、V8ヴァンテージ、DBSスーパーレッジェーラ、ヴァルハラの4種、マセラティクアトロポルテ、ジャガーXF、トヨタランドクルーザー、ランドローバーディフェンダー、トライアンフのスクランブラー1200XEとタイガー900。それとQブランチ特製グライダー。
気に入らなかった点。ボンドは死ななければならなかったか。それも日本かロシアの領海を侵犯した駆逐艦から発射されたミサイルによって。マドレーヌとの間にできた子を登場させる必要はあったか。007にウサギのぬいぐるみを持たせることも。最後にジェームズに家族を与えたかったのか。登場人物が多すぎたのではないか。Mやタナー、フェリックス・ライターをもっと観たかった。いまさらブロフェルドやスペクターは必要だったか。細菌兵器の効力を見せるためか。あれらはサフィンの仕業なのか。ブロフェルドは眼がどうとか言っていたが、矢継ぎ早に進むので理解できなかった。サフィンは最凶のワルと宣伝されていたが、どうにも印象が薄かった。彼が着ていた衣服や能面やアジトの日本テイストは、日本人の血が流れている監督の発案だろうか。Spotifyでサントラが聴けるようになったが、『愛はすべてを超えて』だと思っていた曲は、ジョン・バリーではなくハンス・ジマーの『Matera』という曲だった。『Gun Barrel』や007でおなじみの曲もすべてハンス・ジマーとなっているが、それでよいのだろうか。
画像は英国にある大好きな雑貨店『LABOUR AND WAIT』のウェブページ。劇中でQが着けていた前掛けがこれだそうだ。誂えたものではなく日本メーカーの既製品。『LABOUR AND WAIT』が好きな美術スタッフが、お店で見つけてピンときたのだろうか。