Carte

寒風吹き荒ぶなか恵文社一乗寺店へ。お目当てはロベール・クートラス展。昨年末『暮らしの手帖』で紹介されていたのを見て衝撃を受けた。
それは石井一男さんの絵を観たときと同じ感慨だった。石井さんの絵もクートラスさんの絵も、背景が暗く塗りこめられていて、苦悩や挫折や切望が現れているように見える。
現代のユトリロとも評されたが、画壇に背を向け自らの井戸へ降りていき、『カルテ』の制作に没頭した。55歳で亡くなるまで日夜描き続け、その数は数千枚に及ぶそうだ。
その『カルテ』が展示販売されると聞き、あわよくば手に入れられるかと期待して訪れたが、石井さんのときと同じですでに完売だった。初日に行かないといけない。代わりにこの小さな作品集と、柏木博著『玩物草子』を購入。いつか手に入れられる日を夢見たい。
柏木博さんの本は興味深かった。ご自身の生業であるデザイン論を交えながら、『カルテ』を含めたコレクションを紹介をしているのだが、敬愛する中村好文さん設計のご自宅の写真もたくさん掲載されている。ところで中村さんも大の『カルテ』コレクターだった。『Come on-a my house』で紹介されているのにとんと忘れていた。