ライヒは何処

先日の投稿でスティーブ・ライヒに触れたので、思い出して『マーサの幸せレシピ』を鑑賞。エンドロールにライヒが3曲クレジットされているが、何度観てもわからない。市場に出ていないようだし、サントラ盤も発売されていないので、どんな曲なのかがわからない。
マンフレート・アイヒャーが音楽プロデューサーを務めているので、普通に聴いていてはだめなのだろうか。まさかという場面で数秒だけ使われているとか。でもキース・ジャレットやアルヴォ・ペルトなどのECMの曲も、ディーン・マーティンの『Volare』やパオロ・コンテの『Via Con Me』などのECMでない曲も、仕掛けなく普通に流れている。
話は変わるが、マーサ役のマルティナ・ゲデックが出演する『リスボンに誘われて』は、Blu-rayが発売されていない。発売元へ尋ねたが、DVDとBlu-rayの両方を製造するにはコストがかかるが、この作品は回収できる見込みがなさそうなので、DVDしか販売しないとのこと。
DVDはいつまで続けるのだろう。そろそろ廃止してBlu-ray一本にしてはどうか。本作もデジタルリストアしてBlu-ray化してほしい。そうすればライヒが見つかるかもしれない。

SHORTS

『Monoloog van Fumiyo Ikeda op het einde van Ottone/ Ottone』はダンスではない。顔をアップにした池田扶美代が終始独白し続ける。Ottoneはヘンデルのオペラかと思ったが、オペラ『ポッペアの戴冠』の登場人物だそうだ。彼女の独白はOttoneのセリフだろうか。
『Rosa』はベルギーのヘント歌劇場のホワイエを舞台に、黒のワンピースを着けた池田扶美代が踊る。途中男性ダンサーが登場するが、池田さんに愛想をつかしたのか去ってしまう。監督はピーター・グリーナウェイ。ホワイエのインテリアがすばらしい。
『Tippeke』のダンサーはアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル。木立の中やハイウェイの脇、芝生の上やトンネルの中。時々つぶやきながら情感豊かに踊る。苦手な種類のダンスだが、映像作品としての演出がよくできている。木立の光と影や、白い吐息が印象的。

HOPPLA !

本作の音楽はバルトーク。しかも生演奏。ダンスと音楽の蜜月に高揚する。
『Mikrokosmos』は153曲に及ぶピアノ演奏のための練習曲集。その中から、夫人と共演するために編まれた『2台のピアノのための7つの小品』に振り付け。2人の男女が、引きつけたり、はじいたり、受け入れたり、拒絶する。音楽の構造に合わせて同調したりずれたりする。
『Quatuor nr. 4』は弦楽四重奏曲第4番。4人のユニゾンが気持ちいい。ターンのたびにワンピースがふわりと広がり、純白のパンツがちらりと見える。緩急があり、キュートな仕草もあり、とても楽しい作品。お気に入りの場面は、冒頭の無伴奏の部分と第5楽章の部分。
この作品は、パリ・オペラ座バレエの映像が初見だった。公演の紹介映像だったが、照度を抑えた漆黒のステージに浮かぶダンサーの挙動に魅了された。どうしても全編を通して観たくなり、パリ・オペラ座のストリーミングサービスを見つけて鑑賞。サエさんが可愛かった。
映像ソフトの撮影に使われた建物は、ベルギーにあるヘント大学の図書館。設計は『Rosas danst Rosas』同様アンリ・ヴァン・デ・ヴェルデ。こちらもたっぷりの窓が気持ちいい。

Rosas danst Rosas

撮影に使われた建物は、バウハウスの種をまいたベルギーの建築家=アンリ・ヴァン・デ・ヴェルデの設計で、1936年に技術専門学校として開校。1985年に移転のため閉鎖され、1997年に本作の撮影が行われるまでは空き家だったとか。現在は公立図書館などに使われている。
ダンスは4人の女性が椅子を使い、座る、歩く、横になるといった動作に女性の仕草を加え、しなやかで情感あふれる踊りを繰り返すというものだが、この作品では建物の窓(ガラス)を活かした演出が加えられている。広い建物を利用し、たくさんのダンサーを投入することで、作品にストーリーやおかしみが生まれている。

屋内のガラスの間仕切は撤去されてしまったそうだ。残念。
ところで、作品を観ていて気がついた。むかしUNIQLOCKという広告があったが、4人の女性、ユニゾン、リズム、昼夜……この作品から着想を得たに違いない。

FASE

アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルが主宰する、ベルギーのコンテンポラリーダンスカンパニー『Rosas』。ネットで本作を観て一目ぼれ。スティーヴ・ライヒの『Piano Fase』『Come Out』『Violin Fase』『Clapping Music』に合わせて踊るというもの。ネットの映像は画質が悪かったので、きれいな状態で観たいとソフトを手に入れたが、ほとんど同じだった。
モダンダンスや表現主義的なダンスはどうにも苦手。うまく理解できない。でも『FASE』のダンスは面白い。ライヒの音楽がそうであるように、踊りが繰り返され、位相され、共鳴している。『Piano Fase』での振り子のような手足の運びや、壁に映しだされる影の動きに感嘆する。ロケーションやセットなど、映像作品としての演出もすばらしい。