河井寛次郎『六十年前の今』

ようやく手中に収めることができた。1968年に出版されたもので、ずっと探していた。オークションサイトに登録するも、一向に出品されずにいた。京都へ出かけたので、河井寛次郎記念館へ立ち寄り、ダメもとで尋ねたところ在庫があった...

こちら葛飾区亀有公園前派出所

高校生のころに読み始めた『こち亀』。すでに連載は進んでいて、コミックスも何十巻と出版されていたので、バイト代をはたいて買いそろえた。ジャンプを読まなくなってからもコミックスだけは購入し、100巻くらいまで集めたと思う。で...

小説『永い言い訳』

美しい字。著者の直筆だそうだ。自分で書いた字が読めない体たらくからすれば、うらやましくて惚れぼれする。装丁をされた葛西薫さんは、この美しい題字を生かそうと知恵を絞られたのではないだろうか。単純な構図と色彩だが、傾斜したラ...

雉女房

児童劇作家でありギャラリーTOMの代表である村山亜土さんの作。長い間眠っていたが、柚木沙弥郎さんが絵を添えてよみがえったそうだ。物語は鶴の恩返しの類いだが、思いもよらない結末に不意を突かれ、おきじの献身に胸が詰まる。悲し...

おうさまのおひっこし

書店の新刊コーナーで目にとまった小説『火山のふもとで』。著者は松家仁之さん。覚えがあるぞと裏表紙をめくれば、『考える人』の編集長だった方。ご自宅を中村好文さんが設計し、ほぼ日にも縁のある方で、村上春樹さんのロングインタビ...

After The Rain

駒形克己さんの新作『雨があがって』今度のお話しはノアの方舟。装飾だと思ったカバーの四角い穴は、やがて方舟の入口となり窓となる。嵐が過ぎ、窓から虹が見えると、動物たちは喜び安堵する。もう大丈夫と。震災に思いを馳せて作られた...