神経に作用する

手ぶらで近所へ買い物に行くみたいに豊田まで出かけたら、名古屋で降りても名古屋と思えず、名鉄に乗っても名鉄と思えず。不思議な感覚だったが、口をガーンと開けたナナちゃんを見たときだけは、さすがに名古屋にいることを実感した。
豊田市美術館で『フランシス・ベーコン』展を鑑賞。『日曜美術館』を見て衝撃を受け、どうしても観たいと思った。30年ぶりの展覧会だそうなので、次回は生きているかわからない。
鑑賞というより体験だった。ふだん目を背けている死や暴力が網膜に焼きついた。悲痛な叫びやゆがんだ肉塊。死を見せつけられた。でもなぜか美しいと思い、生きることは尊いと思った。